特別公開セミナー開催(7/26)

特別公開セミナー

【医薬品のウイルスクリアランス】開催

 第一部『血液製剤をはじめとする人由来医薬品のウイルス安全性』 

柚木幹弘 先生(一般財団法人 日本血液製剤機構)

 第二部『抗体医薬品のウイルスクリアランス』

増田由美子 先生(第一三共株式会社)

 第三部『ウイルスクリアランス試験 ~現状と課題~』

渡辺直人 先生(旭化成メディカル株式会社)

 第四部『次世代シークエンサーを用いたウイルス安全性評価』

遊佐敬介 先生(神戸大学大学院)

 

 

2019年7月26日(金)ViSpot株式会社主催の上記特別公開セミナーを開催いたしました。

一般財団法人 日本血液製剤機構 柚木幹弘先生、第一三共株式会社 増田由美子先生、旭化成メディカル株式会社 渡辺直人先生、神戸大学大学院 遊佐敬介先生を講師としてお迎えし『医薬品のウイルスクリアランス』に関して講演頂きました。

第一部では、柚木先生より『ウイルス安全確保対策に対して何をすべきか判断する考え方』のお話がありました。医薬品は患者さんを救うと同時に守らねばならずそのためにもウイルス安全性確保が重要である、とのお考えのもとウイルス安全性評価試験デザインを行う際に重要なポイントをご自身の経験を基にお話頂きました。例えば、同じウイルスでも体内で異なる性状示すものが存在すること、モデルウイルス株により性状が異なること、被験サンプルの特性等に留意が必要であることなど、その内容は多岐にわたりました。また薬害事例から、製品開発当時では正確に評価していると考えられていたウイルス安全性試験デザインが、技術の進んだ現在では全く異なる結果となり得ることがあり、技術的限界の存在を常に留意すべきであるとのお話も頂きました。

第二部では、増田先生からご自身の抗体医薬品開発のご経験からウイルス安全性における抗体精製プロセスとウイルスクリアランス(VC)試験の二部構成でお話頂きました。ウイルス安全性における抗体精製プロセスのポイントとして抗体の性質や混在する不純物含量を考慮した設計が重要であるとのお話を頂きました。VC試験では適切なウイルス力価、スパイク率設定、アッセイ感度等が重要とのことでした。最後にご自身が経験されたトラブルとして、海外でのVC試験は失敗できないにも関わらずウイルススパイクによりフィルター閉塞があったこと等を挙げられ、国内にて開発段階でのウイルススパイクを用いた評価ができる利便性もお話頂きました。

第三部では、渡辺先生からVC試験の中でも特にウイルス除去フィルター工程と最近のトピックスに関してお話頂きました。ウイルス除去フィルター工程では被験サンプルを送液する際の圧の開放・再加圧により、ウイルスが漏出することがあるため注意が必要である等のお話を頂きました。また、最近のウイルス安全性に関わるトピックスとして、EUでTriton-X100の使用制限がかけられSD処理工程での使用ができなくなったこと、また、代替物としてLDAOが検討されていることなどのお話を頂きました。

第四部では、遊佐先生から今後のウイルス安全性評価方法の一つとして、特に細胞加工品・遺伝子治療における次世代シーケンシング(NGS)法の現状についてお話頂きました。細胞加工品・遺伝子治療はウイルス検出に網羅性・迅速性が求められることからNGSを使ったウイルス評価法が有用であるとのこと。NGSでは評価したい対象物のウイルスに関するバックグラウンドをいかに排除するかが重要であり、対象物(例えば細胞種)ごとにバックグラウンドのデータベースの作成が必要であるとお話頂きました。また、NGSを用いれば未知のウイルスを検出することも可能であり、今後のウイルス安全性評価法として利用可能となるように技術標準化に取り組まれているグローバルな取り組みに関してもお話しいただきました。

セミナー後にはハッピーアワー交流会と題し、講師の先生方とセミナーにご参加頂いた皆様とで交流を深めて頂き、熱心に議論される方も見受けられました。

 

特別公開セミナーには47名、ハッピーアワー交流会には38名の方にご参加頂きました。質疑応答では予定時間を超える討議が行われる大変盛況なセミナーとなりました。講師の先生、ご参加いただきました皆様に深く感謝申し上げます。

 

今後も年内に弊社主催のセミナーを予定しております。日程・内容が決定次第、お知らせいたしますので、皆様のご参加をお待ちしております。

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